パソコン(HDD)のデータを消したい場合、どうしたらいいでしょうか?
簡単なのはパソコンを起動してフォーマット(初期化)する事ですが、パソコンを初期化するだけでは完全にデータは消えません。
今回はパソコン(HDD)内のデータを安全確実に消去できるフリーソフト、「DESTROY」をご紹介いたします。
「DESTROY」がなぜオススメなのか?
さて、まず少しだけこの「DESTROY」というソフトの特徴をご紹介いたします。
特徴としては以下の通りです。
- フリーソフト、つまり無料で使用できるソフトである
- パソコンが正常に動かなくても使用できる
- データが復旧できないように安全にデータ消去できる
この3点が大きな特徴です。
無料で使用できるソフトの事を指します。
語句説明「フリーソフト」
無料で使用できるソフトの事を指します。
正確には「フリーウェア」という名称ですが、最近では「フリーソフト」という呼び方もされるため、この記事では一括して「フリーソフト」と呼称します。
特に、「DESTROY」がイチオシな理由として挙げるならば、3番目の「データが復旧できないように安全にデータを消去できる」という点です。
実はHDD上のデータは、削除したように見えていても、本当は消えていないのです。
「ごみ箱」からデータを削除しても、HDDのフォーマット(初期化)をしても、「データ復旧ソフト」を使えば簡単に取り出せるのです。
以下は、HDDのデータ消去のイメージとしてお考えください。
「DESTROY」が行う消去方法は、このようにグシャグシャと上から書いてデータを消すということになりますが、この記事では一括して「データ消去」と呼ぶことにします。
ではこれから実際に「DESTROY」を使ってみますが、使うに当たって準備が必要です。
それでは、前準備を始めましょう。
【実践編①】「DESTROY」を使えるように準備する
では、DESTROYを使用するための前準備を始めましょう。
普通はダウンロードしたソフトをパソコンにインストールして使いますが、DESTROYはCDから直接起動させるソフトですので、まずは「DESTROYを起動させるCD」を作りましょう。
補足
「DESTROYを起動させるCD」のように、CDから直接ソフトを起動させる状態にしたCDを「ブートディスク」と呼びます。
以後、記事内ではこのCDを「ブートディスク」と呼称します。
「ブートディスク」作成に必要なものはこちらです。
- 書き込むためのCDディスク(100円均一でも販売されています)
- CD書き込み可能な光学ドライブ(パソコン内蔵型でも外付け型でも可)
- 書き込みのためのCDライティングソフト(Windows10/Windows8.1には標準搭載)
語句説明「光学ドライブ」
CDプレーヤ、DVDプレーヤなど、CD/DVDを読み込むための機器を指します。
一般的にパソコンに元々付いている(内蔵型)場合は、CDやDVDを書き込む事が可能です。
搭載されていないパソコンもありますが、その場合にはUSBで接続できる外付け型を使用することができます。
それでは早速、ダウンロードから始めましょう。
「DESTROY」のダウンロード
2020年6月現在、「DESTROY」をダウンロードする方法は「Softonic」からのダウンロードが確実です。
では、ダウンロードしましょう。
下に少し小さな文字で書かれている「結構です、DESTROYのダウンロードを続行しますか」をクリックします。
自分が分かりやすい場所にダウンロードします。(この画像ではデスクトップにダウンロードしています)
以上で、ダウンロードは完了です。
「DESTROY」のブートディスク作成
続いて、ダウンロードした「DESTROY」を使用するための「ブートディスク」を作成します。
解凍する
展開が完了すると、自動的に展開したファイルが表示されます。
必要なファイルを探す
ここで必要になるのは、「DESTY322.iso」というファイルです。
しかし通常、拡張子(.isoの部分)が表示されていませんので、「DESTY322」という名前のファイルが2つあるはずです。
同名ファイルがありますので、どちらが「DESTY322.iso」なのか判断できません。
この場合は、「拡張子を表示する」状態に設定する必要があります。
手順は以下の通りです。
すると、拡張子が表示され、下の画像の赤枠で囲った「DESTY322.iso」が確認できます。
イメージファイルをCDに書き込む
「DESTY322.iso」のアイコンの上で右クリックすると出てくる、「ディスクイメージの書き込み」という項目をクリックします。
書き込みウィザードが出てくるので、書き込み用ドライブに「CD/DVDドライブ(光学ドライブ)」が表示されていることを確認し、「書き込み」をクリックします。
緑色の進行バーが右端に到達するまで待機します。(約3分程度)
緑色の進行バーが右端まで達し、「状態」が「ディスクイメージはディスクに正常に書き込まれました」となれば、「閉じる」をクリックします。
以上で、「ブートディスクの作成」は完了です。
ではこれから「DESTROY」を使って、HDDのデータを消去しましょう。
【実践編②】「DESTROY」を使う
「DESTROY」を起動させるにはCD(光学ドライブ)が最初に読み込まれるように設定する必要があります。
※パソコンによって設定方法は異なりますので、あくまで一例として以下の手順はご覧ください。
※筆者が使用した検証パソコンは、Panasonic社製「CZ-NX3」です。
CDから優先的に起動するよう設定を変更する
CDを最初に読み込むように設定するには、「BIOS(バイオス)」と呼ばれる設定画面から変更する必要があります。
この設定画面の操作ではマウスは使えず、キーボードのみですので、ご注意ください。
設定画面(BIOS)に入る
パソコンを起動させ、最初のメーカーロゴが出ている間に「F2」を連打します。
私の使用しているLet’s noteでは「F2」でしたが、これはパソコンにより異なります。不明な場合は各メーカーにご確認ください。
連打している間に画面が切り替わり、このようなBIOSの設定に入る事ができました。※パソコンによって表示が異なります
「起動」タブに入る
カーソル(矢印)キーの右を押し、「起動」タブに移動します。
「UEFI起動」を【無効】にする
「UEFI起動」にカーソルを合わせ、「Enter」を押すとポップアップが出てきます。
【無効】にカーソルを合わせ「Enter」を押してください。
無効にすると、このような画面になります。
※パソコンによっては無効にする必要がない場合もあります。
起動優先度を変更する
先程のステップでUEFI起動を無効にすると、その下に「起動オプション優先度」を変更する一覧が出てきます。
上の画像では「USBフロッピー」が一番上に来ていますので、「USB光学ドライブ」に変更する必要があります。
変更手順は以下の通りです。
以上の手順で「光学ドライブ」が最優先になり、パソコンの電源を入れるとCD内の「DESTROY」が起動するようになります。
保存する
BIOSの変更を保存して終了しましょう。
これでBIOSの設定が完了しました。
実際にDESTROYでHDD内を消去する
BIOSを終了させると、パソコンが再起動します。
しばらくすると、青いバックの「DESTROY」が起動します。
「DESTROY」が起動すると、このような画面になります。個人利用になるので、「P」キーを押してください。
画面が切り替わり、メニュー画面になります。どのHDDを削除するか選びましょう。
初期では「Drive」が「F」となっていますが、これは変更する必要がありますので「N」キーを押してください。
画面が切り替わり「0~F」まで上から下に並んでいると思います。
この中で「None」以外のもの、画像では「000,000,128,035…Byte」と書かれている一番上のもの選びますので、「0」を押してドライブを選択してください。
メニュー画面に戻り、上の「Drive」の横に「0」が表示されていると思います。その下に8通りの消去方法が表示されています。
「0」がもっとも簡単な消去方法です。数字が増えるほどにしっかりとデータを消去しますが、その分時間は掛かります。今回は「3」キーを押してください。
ここでパソコン本体からビープ音が鳴り、最終確認の画面になります。
最終確認ですので、消去するのであれば「Y」、しないのであれば「N」のキーを押します。
後は消去が終わるのを待つだけです。※手元に消去可能なパソコンがなかったため撮影はできませんでした。申し訳ありません
以上で、「DESTROY」でのHDD消去が完了です。
「DESTROY」で押すキーの順
「P」→「N」→「0(ゼロ)」→「3」→「Y」
まとめ「備えあれば憂いなし」
HDD内のデータを安全できる「DESTROY」は非常に便利なソフトです。
一度作成したCDは他のパソコンでも使用できますので、ぜひ一枚作っておくことをオススメします。
補足情報:「DESTROY」のデータ消去方法について
メニュー画面に表示される「0~9」のデータ消去方法についてリストにしました。
気になる方は参考にしてください。
0 | すべてのセクターに 0 を書き込み、データ消去する方式。 |
1 | すべてのセクターに 16 進数の FF を書き込み、 データ消去する方式。 |
2 | すべてのセクターに乱数を書き込み、 データ消去する方式。 |
3 | 乱数を書き、別の乱数を書き、続いて0 を書き込み、 データ消去する方式。 NSA(米国国家安全保障局)の勧告による消去方法。 |
4 | 乱数を書き、その補数(1 の補数)を書き、別の乱数を書き、最後にその乱数が正しく書かれていることを確認し、データ消去する方式。 米国国防省標準 DOD 5220.22-M に準拠。 |
7 | 0、1、0、1、0、1、乱数、の順で書き込み、 データ消去する方式。 NATO(北大西洋条約機構)の仕様。 |
8 | Gutmann の論文に基づいた 35 回の消去法。 |
9 | 特殊仕様。乱数を書いた後 0 を書き込み、 データ消去する方式。 |
基本は「3」で問題ありません。
もっと安全に消したい場合は、数字の大きい「7」や「8」を使い、簡に消すだけなのであれば「0」を使いましょう。
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